道草

石の作品中、自敘伝的小說とも言うべき唯一のもの。健三、お住の夫婦生活を中心に、養父母、姉夫婦、舅と健三との関系を心理的に掘り下げ、日本的家族構成の內包する重圧感と、それから起こるどうしようもないトラブルを描いている。近代生活への脫卻を願う健三の中にも舊い倫理感が根深く巣食っていた…。 --このテキストは、文庫 版に関連付けられています。

1915（大正4）年10月刊．この作品には，『吾輩は貓である』執筆當時の30代後半，ロンドン帰朝後の漱石の姿，またそのグルーミーな心情が色濃く映し出されている．夏目漱石の唯一の自伝小說として著名．函，表紙，扉の挿畫はいずれも裝丁者津田青楓の手になるもの．背の文字は金色の箔押し，表紙見返しは色絵柄． --このテキストは、絕版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。